ミステリーといえば、”主人公とヒロインを中心に事件の謎を解いていく”という展開が皆さまの中に強く根付いているのではないでしょうか。
そんな常識を大いに覆す新感覚のミステリーが読みたければ、筆者は迷わず【夏目アラタの結婚】を推します。
一件、新婚夫婦を取り巻く、謎の展開が繰り広げられそうなタイトルですが、良い意味で騙されてはいけません。
このマンガの展開を知ったとき、貴方はページをめくる手を止められないと予言いたします。
主人公夏目アラタの妻は連続殺人鬼?
この漫画のマンガの一番惹きつけられるところは、主人公、夏目アラタが死刑宣告された連続殺人鬼と獄中結婚をするという点です。
しかし彼女は本当に”残虐な殺人を犯した犯人なのか?”という疑問が浮かびます。ここが最大の焦点であり、マンガをつねに面白くさせている部分です。
その疑問を持つことで、ヒロインに当たる女性「品川真珠」を取り巻く複数の人物が、彼女は無罪なのではないか?と感じて、事件が展開されていきます。
「真珠が残虐な殺し方で殺人を行えるわけがない」
と、そう思うのも無理はありません、なぜなら彼女の姿は、成人男性をバラバラに切り刻んで殺せるとは思えないほど、線が細くて顔立ちの整った美しい女の子だったからです。
しかし、真珠はたしかに殺人現場を取り押さえられて逮捕されています。
メディアに報道された当時の彼女の姿は、みすぼらしくて太っており、おまけに歯並びがガタガタの醜い姿、顔にはピエロのメイクをしている事から「品川ピエロ」と揶揄されるほど醜悪な姿という情報だったのです。
しかもそのバラバラに解体した遺体の一部を、人目につかない所へ埋め隠しています。
ではなぜ、アラタは真珠に会いに行ったのでしょうか、その経緯をこれからお話していこうと思います。
どうして真珠に会いに行くことになったのか
そのきっかけは、アラタが務める児童相談所に寄せられた一件の相談から始まります。
相談を持ちかけてきたのは、不登校生徒「山下卓斗」彼はなんと、父親を真珠に殺されバラバラにされて首を何処かに隠されています。
当然、警察は真珠から、卓斗のお父さんの首を何処に隠したのかを聞き出そうと尋問していますが、当然真珠は口を割りません。
”警察が聞き出せないのならいっそ僕が聞き出してみよう”そう思った卓斗は、いけないことと知りつつも、真珠が殺してきた男性の好みに似せて、自分を偽りの男性として仕立てあげ真珠と文通を始めたのです。
そしてある日真珠からの返信にはこう書かれていました。
「今度、直接会って話そうよ」
そこから引っ込みがつかなくなってしまった卓斗は、実は自分の偽っていた身分が、アラタだと打ち明けます。
身分を隠して文通をしていた理由は、殺した男性の子供だとわかれば、相手にしてもらえず、首のありかが上手く聞き出せないと考えたからでした。
児相の案件でもあり、自分の名前を使われているということもあり、しぶしぶ卓斗の代わりに真珠に会いに行くことにしたアラタ。
しかし、卓斗の身を案じて「手紙はもう書くんじゃねーぞ」と強めに警告をします。
そして、偽りの文通者として真珠に会いに行き、お父さんの首のありかを上手く聞き出すという約束をしたのでした。
なぜ連続殺人鬼と獄中結婚することになったのか
ではなぜ、アラタは残虐な殺人を犯した真珠と結婚することになったのでしょうか?
後日、アラタは真珠が入っている東京拘置所に出向き面会を要請します。
メディアは醜いピエロの殺人鬼であるという情報を流していたので、どうしても身がまえてしまうアラタ、悪い想像が膨らむ中、面会室の部屋に座って彼女が現れるのを待ちました。
そして、ドアが開かれた瞬間、アクリル板越しに見える彼女を見て驚愕するのです。
(このおとなしそうなのが、本当に三人殺した殺人鬼なのかよ…)と、
華奢な身体に、ピエロとは遠くかけ離れたイメージの美しい顔をした美少女。
しかし、合った瞬間に鳥肌が立つような感覚に教われるミステリアスな雰囲気に飲み込まれそうになるアラタ。
そして開口一番彼女はこう言います。
「夏目アラタ、中学生みたいな字を書く人だよね」
正体がばれないようになんとかその場を取り繕って、「へへ、育ちが悪くて」と返事をしたのですが、彼女の感心を引くことは出来ず、真珠は面会室を出ようとします。
この機会を逃してしまえば二度と会う事はできない、そう感じ取ったアラタはアクリル板を叩き彼女にこう言ったのです。
「品川真珠、俺と結婚しようぜ」
こうして、結婚の約束を取り付けて気を惹き、父親の首のありかを聞き出すという前代未聞の獄中結婚ミステリーが展開されていくのです。
夏目アラタの結婚のまとめ
という感じの漫画なのですが、いかがでしたか?
作者は「医龍」がドラマで大ヒットしたあの乃木坂太郎先生の作品なのですが、今回の作風は、連載四作目にして、大ヒット間違いなしの新感覚ミステリーです。
これまでも美しいイラストで、緻密に作品を作り込まれてきた乃木坂先生ですが、新作の「夏目アラタの結婚」は想像を絶する展開が数多く存在していて、一度読みだせば最新刊が発行されるまで、発狂しそうになるほど惹き込まれる、素晴らしい展開が目白押しです。
特に筆者が注目していただきたいのは”表紙絵のしかけ”です。
一見なんの変哲もない幸せそうなカップルのイラストが書いてあるだけの表紙ですが、現在の最新刊7巻に掲載されている話で、絶句するほどの意味があったことを知るのです。
その他にも、結局結婚するしないといった偽りの恋の駆け引きや、真珠は死刑になってしまうのか、そして卓斗のお父さんの首は何を意味するのか、など考えたら想像が止まらない作品になっています。
一度読み始めたら最後の展開まで読み切らないと、気が収まらないほど中毒になること間違いなしの「夏目アラタの結婚」を読んでみてはいかがでしょうか。
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