多数の女性読者の共感を得る、【明日、私は誰かのカノジョ】を徹底考察

無料漫画アプリ『サイコミ』内で現在連載中の『明日、私は誰かのカノジョ』。作者はをのひなおさんで、実写ドラマも現実放送中です。

章ごとに異なる主人公で物語が展開するオムニバス形式の作品で、レンタル彼女で収入を得る主人公・雪が登場する第1章の冒頭は、Twitterでも2.5万人以上にリツイートされ、話題になりました。

そんな主に若い女性から絶大な人気を誇るこの漫画の魅力は、レンタル彼女やホスト、パパ活、整形などの令和ならではのキャッチーな話題性はもちろんですが、それだけではないのです。

今回はなぜこの漫画がここまでの人気を誇るのか、魅力を徹底考察していきます。

幅広い年代の方が共感する、徹底リサーチされた細かい描写

この漫画の魅力の一つはなんといっても、主人公たちの細部までこだわった服装や髪型、持ち物です。

第4章『knockin’on heaven’s door』に登場する『ゆあてゃ』と呼ばれるキャラクターは、現在大流行中の地雷ファッションに身を包んでいます。その可愛さが話題になり、『クライナー缶』の街頭公告にも抜擢されました。

現在連載中の第7章『what a wonderful world』の主人公・絵美の10代や20代の頃の、いわゆる「バンギャ」と呼ばれる女性たちの服装やギャルファッションなども、主に平成初期に青春の時を過ごした女性たちの間でその懐かしさに多数の共感の声が挙がっています。

このような平成初期?令和という、幅広い世代の流行を細かく押さえて描写している所には、作者の徹底した取材や鋭い考察力が見受けられます。その細かい描写は服装だけでなく、アクセサリーや持ち物、髪型、さらにはメイクまでもがキャラクターの性格や時代ごとに描きわけられているように思えます。

流行とはめぐるましく変わるものであり、その人がその時代にすごした時間そのものの象徴とも言えます。これらの描写が多くの女性の共感やノスタルジーを呼ぶことが、支持されている理由の一つでしょう。

女性ということを売る仕事への高い解像度

この漫画で扱われる内容がレンタル彼女やパパ活など、程度は違えど「性産業」という部類に入り得るものが多いのは有名な事実です。

他の漫画では言ってしまえば話題性のためにそういうものを取り扱っている作品もないとは言い切れないと私個人の主観では感じます。

ですがこの作品では、そのような仕事をしている女性たちの心情や、そうなるに至った背景、仕事上での葛藤や苦悩がとてもリアルに描かれており、実際にそのような職業に就いている女性の強い共感を呼んでいます。

このような仕事は、他のアルバイトや正社員などと比べると、短い時間で多くの収入を得られることが多いです。ですが、他の仕事にはない精神的・肉体的な苦痛が存在することも否めません。

さらに、もちろんそうでない方もいますが、このような仕事を選ぶ人の中には、金銭的支援を十分受けられない学生や、他の仕事にはなかなか馴染めない方、心の一部を自覚の有無はさておき壊してしまい多くのお金が必要な方が、実質的に選択の余地なく就いている場合もあります。

そのような多くのストレスを抱えた女性たちには、細かい仕事上の描写や、心理的な葛藤や苦痛の掘り下げが深い共感を呼び、少しでもストレスを癒すことに繋がっている方が多いでしょう。

このような一面も、この作品が多くの方に支持される理由の一つです。

複数の章にまたがって描かれる、登場人物の深い内面

第1章『killing me softly』の、レンタル彼女で収入を得る主人公・雪の友人であるリナは、第2章『致死量の自由』で、満たされない承認欲求に悩むパパ活女子を演じています。

また、第6章『洗脳』で、性産業に従事する主人公・ルナの先輩として登場する絵美は、第7章『What a wonderful world』では、実家に戻りこれからの生活に葛藤する40代の主人公として描かれています。

このように、同じ作品内でも章を読み進めるごとに、登場人物の新たな一面が明らかになり、そのたびに多くの共感や驚きを呼んでいます。

これは、現実世界での人間関係と同じように、その人の見えている部分はその人の一面でしかなく、みんなそれぞれ違った葛藤や苦悩、目標、信念を心に秘めているということが思い起こせるような気がします。

最近ではコロナ禍やSNSの普及により、物理的な関わりが薄れ、これまでよりもさらに他人の一面だけを見て判断する人が多くなっているように見受けられます。

そんな令和のこの世の中では、そのような人間の多面性について新たな気づきを得たり深い共感をよんだりすることができる作品となっている所も、この作品の魅力の一つでしょう。

【まとめ】作者の深い解像度と鋭さが多くの共感を呼ぶ作品

まとめ

これまで紹介してきた通り、この作品は作者の幅広い部分に対する深い解像度や鋭さが、たくさんの人の共感や新たな気づきを呼んでいることが、若い女性を中心に沢山の人に支持される理由となっているという考察が出来ました。

また、コロナ禍やインターネットの普及により人と人との物理的な距離が遠くなってしまったこの令和という時代に迎合する作風だというとも人気の理由となっていることでしょう。

実際に、令和を象徴する漫画だ、後の世代の人がこの漫画を読んだ時の反応が気になる、という声もあります。

この『明日、私は誰かのカノジョ』という作品は現在も週刊連載中であり、無料漫画アプリ『サイコミ』で読むことができるので、ぜひ令和の時代を悩み葛藤しながら生きる方に読んでいただきたいです。

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