美味しんぼというグルメ漫画が愛される理由を考察【ネタバレ注意】

雁屋哲さん原作、作画を花咲アキラさんがそれぞれ担当している大ヒットグルメ漫画美味しんぼなのですが、この作品がどうして長きにわたって愛され続けるのかを考えてみました。

キャラクター山岡士郎をはじめ父親である海原雄山、パートナーで同僚でもある栗田ゆう子の存在、東西新聞の面々などバラエティに富んだキャラクターたちが魅力です。物語の構成も素晴らしく面白いエピソードが数多く存在します。今回はその面白エピソードをメインにキャラクターの魅力も含めて記していきたいと思います。

懐石料理を別の食べ方で美味しく食べる話

この作品では事あるごとに士郎と雄山が食べ物の旨さについて戦う場面が登場します。

海原雄山は美食倶楽部という自分の城のような店を持っていて、そこでの料理は会員にならないと食べれないというハードルの高さです。そんな食に対してのこだわりがとても強い雄山を凹ませる場面がかなり爽快で面白いです。

雄山がフランス料理店の開店セレモニーに招待された場面で出された鴨肉を持参したわさび醤油で食べて「血のソースよりも美味しい」と声高らかに宣言する姿が忘れられません。

フランス料理は指定した食べ方以外でも美味しく食べることができるが懐石料理は絶対に指定した食べ方しか美味しく食べる事はできないと言い張るのです。その持論に異議を唱えたのが山岡士郎です。

雄山が出した懐石料理を料理人以外の食べ方で美味しく食べる方法を模索していく対決は必見です。対決当日、鰹の刺身が出てきて山岡はマヨネーズと醤油をつけて食べる姿に注目です。

否定する雄山もこの食べ方を実践して、あまりの美味さに動揺するのでとても面白い場面でした。美味しんぼという作品はこういう豆知識のような為になる情報をたくさん教えてくれるので、それが読者から愛されている最たる部分ではないでしょうか。

驕り高ぶった心で握った寿司の話

山岡たち東西新聞の面々が銀座の超高級寿司店に行く話があるのですが、その話がとても興味深くて面白いです。

まず銀座の寿司店の店主なんですが銀五郎というかなり腕の良い職人です。

しかし、いかんせん自信過剰で客に対して横柄な扱いをして蔑ろにしていく姿が目に余ります。その伸び切った鼻をへし折ったのが山岡です。

まず栗田が銀五郎に注文のことで詰め寄られたことで話が展開していきます。「スーパーのパックの寿司でも食べてろ」と銀五郎が暴言を吐き栗田が意気消沈していると、そこに追い討ちをかけるが如く山岡が「スーパーのパックの寿司を食べた方がいい」と語り出すのです。

一瞬山岡にむかつきますが実は山岡は銀五郎の寿司がまずいからスーパーのパックの寿司の方がうまいという裏の意味で言っていたとわかりスッキリします。

銀五郎はこの発言に腹を立てて自分の寿司が不味いなんてあり得ないと怒り狂うのですが、その時の山岡の態度がまた格好良くて、本当にうまい寿司を証明するから付き合えと勝負を挑むのです。

後日、山岡は知り合いの富二郎という寿司の神様みたいな人に訳を話して銀五郎の寿司と富二郎の寿司のどちらが美味いのか東西新聞の面々に食べさせて勝負する展開は見逃せません。本当の寿司というはシャリがホロリと崩れないとネタとシャリが上手く融合しないということを説明します。

そして、銀五郎が驕り高ぶった心で握ったことを指摘しシャリがホロリと崩れないことを証明するので、すごく見応えがあります。

屋台の蕎麦屋がつゆの大事さに気がつく話

ある日、山岡と栗田が街を歩いていると屋台の蕎麦屋があるのを発見する話がとても面白いです。

そこの店主は昔からの蕎麦好きで素人なのですがかなり本格的な蕎麦を作って山岡に感心させられる展開は必見です。

一番粉、二番粉、三番粉という存在をこのエピソードで初めて知ったので、勉強にもなりましたね。蕎麦のクオリティはかなり高いのですが肝心のつゆが弱すぎて山岡が指摘する場面に目が離せません。

つゆの出来について口論に発展してしまうのですがその後、中松警部がやってきてつゆの弱さを指摘し店主もようやく納得する姿は切なかったです。この場面を見て蕎麦とつゆは二つで一つであることを感じずにはいられませんでした。

何度も店主は、つゆの研究に没頭していくのですがなかなか濃いつゆが出来上がらない姿に痺れを切らして山岡が老舗の蕎麦屋の店主に頼んで、濃いつゆの作り方を教えてあげる展開には山岡の優しさを感じましたね。濃いつゆを作るためには手間を惜しんではいけないということを改めて思い知らされて最高のつゆを作り上げていく展開にはあっぱれでした。

最高のつゆを作ったことで中松警部にも蕎麦本来の旨さを改めて評価されるので見応え十分です。

パラパラチャーハンが至高だとわかる話

駆け落ちしたウォンさんとメイメイさんの話がすごく興味深いです。気弱な性格のウォンさんがチャーハンを作るのですが、米同士がくっついてパラパラではないチャーハンが出来上がって山岡が指摘する場面には目が離せませんでしたね。

気弱な性格が災いして動きが小さくなりチャーハンを作る動作が小さいことで、うまく作れなかったのですが山岡の発言により、心が解き放たれてダイナミックな動きになりパラパラチャーハンができるようになったウォンさんの場面は感動しましたね。

強い火力の上を振り上げた鍋によって米が宙を舞い余計な脂が削ぎ落とされていくという話にかなりの説得力がありました。自分としてはしっとりチャーハンも好きなのですがパラパラチャーハンが主流になったのはこのエピソードからだという説もあるので必見です。

最近では『孤独のグルメ』が人気ですが、元祖料理マンガの「美味しんぼ」にも注目です。

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