『ワールドトリガー』圧倒的強者がいないバトル漫画|集団戦が面白い!

現在「ジャンプSQ」にて連載中のSFバトル漫画「ワールドトリガー」。テレビアニメも好調で、毎回Twitterのトレンド入りを果たすなど、着実にファンを増やしています。

舞台は、異世界からの侵略者、近界民(ネイバー)の襲撃を受けた三門市。そんな街を守る組織「ボーダー」に所属する隊員たちの物語です。

この作品最大の特徴は、圧倒的強者が出てこないこと。バトル漫画でありがちな、超人能力やチートキャラが一切登場しません。

では、彼らはどのようにバトルを繰り広げるのか。──それは、集団戦です。緻密に練られた作戦と、そのチームワークにハマること間違いなしです!

圧倒的強者のいない世界

「ワールドトリガー」に登場するキャラクターに、圧倒的強者はいません。バトル漫画といえば、主人公がチート能力を持っていたり、能力が覚醒して超人的なパワーで敵を圧倒したりしますよね。そんなバトル漫画定番の展開は、大人も子供も大興奮する瞬間。

しかしこの「ワールドトリガー」のキャラクターは、主人公も含め、私たちと特別大きな違いはありません。といっても、「サイドエフェクト」という能力を持つ人もいるのですが、この能力も人の力を超えるようなものではなく、あくまで人間の能力の延長線上にあるものです。

では、彼らはどのように戦うのか。まずひとつは「集団戦」です。ひとりの力が強くなくても、みんなで力を合わせれば勝てる、という現実的な戦法。

そしてもうひとつは「トリオン」の活用です。「トリオン」とは、人間の見えない内臓器官のことで、物語の基盤となるもの。

そしてこの「トリオン」を武装化したものが「トリガー」です。これらは近界の技術で、ボーダーはそれを取り入れています。「トリガー」には多くの種類があり、ブレードタイプのものから、狙撃銃タイプのものまで多種多様。一人ひとりが、自分に合った武器を用いて戦います。

そして戦う際はトリオン体に換装して戦うので、生身の体が傷つくことはありません。さらにトリオン体は、体力や運動能力が上がる優れもの。その人のトリオン量による差は生まれますが、あくまで「トリガー」の力を借りて戦うスタイルなのです。

つまりベースはみんな、私たちと何ら変わらない一般庶民。そう思うと、「もし自分だったら…」とリアルな共感もできるのではないでしょうか。

チームで勝つ!集団戦の魅力

「ワールドトリガー」のバトルは、そのほとんどが集団戦。訓練の一環として、隊員同士でチームを組み、「ランク戦」とよばれる試合が行われます。主人公の空閑遊真、三雲修、雨取千佳の三人は「玉狛第二」というチームを組んで、近界(ネイバー)遠征のメンバーを目指しています。

その遠征メンバーに選ばれるためには、「ランク戦」にて上位を勝ち取らなければいけません。「ランク戦」は、3〜4チームが、トリオンで作られた仮想空間で戦う試合。相手チームの情報を集め、分析して作戦を練り、それぞれの役割を決めた上で戦います。

作戦通りにうまく相手を動かせることもあれば、逆に相手の策にハマってしまうといった予期せぬ出来事も起こります。チーム戦なので、ひとりの小さな動きが、実はチームの勝利に大きく貢献していたなんてこともあり、何度読み返しても発見があるのです。チームそれぞれの特徴が、あらゆる対戦の組み合わせによって、試合に化学反応をもたらしています。

そしてチームで戦うからこそ、足りない部分を補い合えます。たとえば、主人公の三雲修。彼はトリオン量も少なく、戦闘能力も決していいとはいえないタイプです。しかし、他チームの助言から、ある戦法を使ってチームを勝利に導きました。1対1では勝てない相手でも、視点を変えたことで勝利できたのです。

また「ランク戦」では敵として戦っていても、試合が終われば同じボーダー隊員の彼ら。試合後は仲睦まじく、ライバルとして切磋琢磨しています。その空気感がさらに共感を呼び、親近感を湧かせるのです。

一人ひとりに細かい設定!大勢の登場キャラクター

「ワールドトリガー」に登場するキャラクターの数は、ほかの漫画より群を抜いて多いでしょう。ボーダー隊員にはA級、B級、C級とランクがあり、「玉狛第二」はB級。ランク戦では、同じB級チームと試合を重ねました。そのB級隊員だけでも約100名います。A級は約30名で、C級は400名以上が在籍しているのです。

「玉狛第二」がランク戦で戦ったのは、全部で12チーム。1チームに3〜5人程度いるので、ざっと見積もっても40人以上は登場キャラクターがいることになります。しかも「モブ」らしきキャラは一人もいません。

単行本では、その一人ひとりの設定が細かく紹介されていて、それぞれの関係も緻密に考えられていることがわかります。特に、葦原先生のキャラに対するコメントは秀逸。作中ではわからない一面が知れるので、ぜひ注目してほしいポイントです。「作中ではクールなキャラなのに…!?」といった、新たな魅力に出会えますよ。

もちろん登場キャラクターは、B級隊員だけではありません。A級隊員や本部上層部、玉狛支部など、多くのキャラクターが登場します。キャラクターを覚えるのが大変そうと思うかもしれませんが、読んでいると自然に頭に入ってくるのがすごいところ。一人ひとりのキャラクターがしっかりと確立されているから、印象に残りやすいのだと思います。葦原先生の手腕が光る特徴といえますね。

多くのキャラがいるからこそ集団戦が面白い!

「ワールドトリガー」の主人公は、ひとりではありません。空閑遊真、三雲修、雨取千佳、迅悠一の四人が主人公。それぞれに性格がまったく違い、歩んできた人生も違います。ほかにもたくさんキャラクターがいるので、あなたの推しキャラが必ず見つかるでしょう。それぞれ異なる魅力があるので、ひとりに絞れないという人もいるかもしれませんね。

そして、この主人公たちが出会うことによって、四人の運命が変わります。特に遊真の過去を思うと、この出会いが遊真を救ったのだと感慨深くなるのではないでしょうか。

そんな一人ひとりの人生と出会いがいくつも描かれていて、いろんな人間模様が見られます。また伏線や謎も多くあり、細かいところまで楽しめるストーリーも大きな魅力です。

圧倒的強者がいないからこそ、リアルに共感できて親近感の湧くキャラクターたち。彼らが魅せる集団戦と人間模様の面白さに、読めば読むほどあなたもきっとハマるはず!

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