「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 」京都編 は、なぜ人気なのか?

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 」は、原作者・和月伸宏 ・集英社 から出版され、・週刊少年ジャンプで連載された、日本を代表する名作漫画です。

全世界でのシリーズ累計発行部数は7200万部を突破し、アニメ化の後に映画化もされ、共に大ヒットを記録しました。

そんな人気作品に於いて、ファンから最も人気があるエピソードシリーズが「京都編」です。

「一体なぜ、本編がそれほど支持されるのか?」その魅力に迫っていきます。

魅力的な演出、シーンの数々!


本編は主人公の緋村剣心が、幕末の京都で伝説の「人斬り抜刀斎」として、長州派維新志士の一人という立場で戦っていた際に、同じく影の人斬りとして暗躍した志々雄真実との対決にスポットを当てたシリーズになります。

ことの始まりは、政府高官達が剣心の居る神谷道場を来訪し、志々雄真実が政府討伐と日本の支配権獲得を同時に企てていることを伝え、彼の抹殺を要請するところから動き出します。

その帰路の最中に、政府トップに君臨する大久保利通が、志々雄直属の配下である十本刀の一人、瀬田宗次郎により暗殺され事態は急展開していきます。

この場面も馬車で移動中のところを、自らの強靭な脚力のみで追い付き乗り込む描写であり、衝撃でした。

次に京都往きを決めた剣心が、今一番大切な人である薫にだけ別れを告げ、独り旅立ちます。

その際の蛍飛び交う夜の帳の中、彼女を抱き締める姿は名シーンの一つで、

「今までありがとう。そして、さようなら。拙者は流浪人。また…流れるでござるよ」

の名台詞を残しています。

また、アニメ版のEDでは京都編からT.M.Revolution の「HEART OF SWORD 〜夜明け前〜」が採用され、作品をオマージュした世界観は、ファンの間では最も支持される主題歌として人気を博しています。

最強奥義の習得!

新月村の戦いで、剣心は十本刀最強の瀬田宗次郎と初めて対峙し、辛くも引き分けとなりましたが、逆刃刀を真っ二つに折られてしまい、己の力の無さを痛感します。

このままでは志々雄真実どころか、配下の宗次郎にも勝てないと悟った剣心は、未習得のままに投げ出して来ていた飛天御剣流奥義習得のため、師匠である比古清十郎のもとへ向かいます。

そこで「甘ったれるな!」と突き放されてしまい、一旦はもう無理かという雰囲気でしたが、東京から剣心を追って来た薫と弥彦に再会し、二人が剣心のるろうにとしてやってきたことを、師匠に説くことで心を動かし、奥義習得への道が拓けてきます。

先ずはその前哨技として九頭龍閃を習得し、同じ技で師匠に立ち向かいましたが、全て押し負け敗れます。

この師匠の九頭龍閃を唯一破る可能性があるのが、奥義天翔龍閃であり、習得を試みますが、

「今のお前のままでは無理だ」

と言われ、もう一度自らを見つめ直すことになります。

そして答えの出ないままその時を迎え、「心苛まれ人斬りに立ち戻るくらいなら、いっそこの手で引導を渡す」と、決死の覚悟で向かってきた師匠の姿に恐れを抱きながらも、「生きようとする意思は何よりも強い」という一つの答えを見つけ、刹那の最中で天翔龍閃を会得したのでした。

少年誌における最強技の習得とお披露目というのは、熱いイベントであるのと同時に、最強武器となる愛刀「逆刃刀真打ち」の獲得という大きな二つのパワーアップを果たしたのが、京都編です。

幾多の名闘、死闘!

京都編一番の魅力は正にこれで、数々の好カードと呼べる戦いが組まれています。

まず最初が十本刀三将、明王の安慈と相楽左之助による「二重の極み」師弟対決。次に副将にあたる盲目の宇水と斎藤一の「琉球古武術VS牙突」。

三戦目が、闇堕ちした四乃森蒼紫と緋村剣心の「回転剣舞六連VS奥義天翔龍閃」。

四戦目が瀬田宗次郎VS緋村剣心の「縮地VS飛天御剣流抜刀術」超神速対決。

そして、最終戦が大将、志々雄真実VS負傷を抱える緋村剣心一派の総力戦というかたちとなり、大いに盛り上がりました。

これに加えて、剣心達不在となった葵屋襲撃の命令を受けた残る十本刀率いる志々雄軍と、迎え撃った薫と弥彦、操をお頭とした京都御庭番衆。

剣心の頼みを受けてこれに加勢、参戦した、剣心の師であり現最強を誇る、飛天御剣流正統継承者 比古清十郎VS破軍の不二による真の戦士、武人の誇りを懸けた超重量対決もあり、枚挙に暇が無いほど、名戦名対決のオンパレードになっています。

これら全てが、作品の中でも集大成と呼べるクオリティで描かれており、直接的な戦いだけでなく、心の強さや生きる意思、人はなぜ間違えるのか? そこからの回帰道標 等々、読者に対してのメッセージ性も印象的なシリーズです。

それぞれの信念のその先へ!

京都編での戦いは、志々雄真実という悪を倒す正義の下に皆が集い、一致団結して目的を果たしました。

しかし彼は彼で、「弱肉強食」という真実であり事実の下で、西欧諸国の台頭著しい今時代を、強き日本として生き残る一つのかたちを目指してはいて、完全な絶対悪では無い一面も垣間見せます。

勿論、そのために血を流し犠牲となるのは、現在(いま)の世を平和に生きる弱き人々達であり、それは絶対に許されるべきではない。

という剣心の言い分も至極正しいです。

そして宗次郎が、

「自分をあの時に助け救ってくれたのは、紛れもなく、あの日志々雄さんの与えてくれた、たった1本の脇差と弱肉強食の理念だった。」

という事実と、剣心の言う、

「人は生き方を間違えるもので、強い者が正しいというのが真実になるほど、そう単純ではないし、簡単なものではない。」

という言葉の狭間で葛藤し、自らその答えを探しに旅立つ姿など、読者の心に訴えかける名作でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です