『PSYCHO-PASSサイコパス』を気楽に楽しむためのポイント考察

『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズは同タイトルのアニメを原作とする、近未来の日本を舞台としたSF刑事ものです。

アニメはテレビ版『PSYCHO-PASS サイコパス1~3』と劇場版3作があり、アニメ1期のマンガ版『監視官 常守朱』を三好輝が、2、3期のマンガ版『PSYCHO-PASS サイコパス 2、3』を橋野サルが担当しています。

マンガ版はアニメの絵やシーンなどをかなり忠実に再現しているので、原作ファンにとっても楽しめる内容になっています。設定やストーリー上ダークな描写が多いのですが、それだけではない魅力がたくさんあるので、気楽に楽しめるポイントを考察します。

魅力的なキャラクター

『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズのキャラクター原案は、『家庭教師ヒットマンREBORN』で知られる天野明が担当しています。

天野明のキャラクターは総じてイケメン比率が高く、女の子は目が大きくて細身の少女漫画のようなキャラクターが多いので、好きな方も多いのではないかと思います。

マンガ版の絵柄もかなり忠実に再現されているので、天野明のキャラクターが好きという人にとっては楽しめるポイントです。

外見だけでなく性格的にも癖の強いカッコいいキャラクターが多いですが、物語の性質上死んでしまうこともあります。自分が好きなキャラクターが死んでしまうと本当に切ないですが、その分前のシリーズを何度も読み返したりして逆に思い入れが強くなったりします。

例えば、1期の槙島聖護(まきしましょうご)は特に印象的なキャラクターです。

シビュラシステムという人間を超えた知性が統制する未来の日本社会。

心理傾向が数値化され犯罪が未然に防がれる作品世界の中で、どれだけ犯罪を犯しても数値が変化しないという「免罪体質者」である彼は、物語の核心を体現したようなキャラクターです。

シリーズ2期以降も、「免罪体質者」やほかの理由でシステムに認知されないキャラクターが出てきますが、彼ほどの強烈で魅力的な印象はありません。槙島聖護自体は1期にしか登場しないのですが(私の覚えている限り回想シーンなども一切ありません)、シリーズ全体の中でも特に象徴的なキャラクターに思えます。

「ドミネーター」がめちゃくちゃカッコいい

作品のの世界は近未来(公開年のちょうど100年後という設定)ですが、現在の私たちの生活とそこまでかけ離れてはいません。服装や移動手段、食べ物などは仕組みや原材料は違うのですが、見た目は現在と同じように作られています。

そんな中で、メインキャラクターたちが所属する厚生省公安局刑事課が扱う特殊拳銃「ドミネーター」は作品の中で目立つ存在となっています。

シビュラシステムと接続されているドミネーターは、構えることで相手の「犯罪係数」をリアルタイムで計測します。犯罪係数とは犯罪を犯す危険性を数値化したもので、規定値を超えた者は犯罪を犯す前であっても「潜在犯」として逮捕されます。

シビュラシステムの手足のような存在とも言え、キャラクターと会話したり、意図的に係数を変えたりと、物語の中でも大きな影響力を持っています。

ドミネーターにまつわる設定で私が特に好きなのが、「ドミネーターにはなぜ引き金がついているのか」「引き金を引くのは人間であるべき」というテーマが一貫して語られている点です。この言葉は人間の意志の力やその意味を問うものだと思います。

そして、なんといってもその形状がとてもカッコいいです。モードによって形状が変わり、最終形態のデコンポーザー(分子分解銃)はその破壊力を表すように凶悪な見た目になります。純粋にメカのデザインを楽しめるポイントです。

現実との接点

最後に作品を楽しむポイントとして「現実との接点」を考えてみます。

例えば、槙島聖護はいつも本を読んでいますが、作中に出てくるのは現実に出版されている書籍です。

槙島がフィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』について語る場面があったり、100年後の世界なので紙の本が貴重品とされていたり、作品と現実のつながりが意識される瞬間が随所にあります。

もうひとつ現実との接点としてあげられるのは、未来っぽい技術や道具です。100年後という設定だからか、いかにもSFというような現在とかけ離れた派手な技術や道具はあまり出てきません。作品に出てくる技術や道具を見ていると「現在の最先端技術が実用化されたらこんな風になるのかもしれない」と思えてきます。

例えば、第1期ではメインキャラクターの常守朱がホログラムの技術で服装を変えたり、可愛いキャラクターの家庭用サポートAIと会話をしたりする場面があります。形は違っても現在の私たちの生活でAIの活用が広がっていることを考えると、こんな製品があったら楽しいだろうなと思います。

現実との接点の3つ目は、現実の社会問題が作品のテーマのひとつとして取り入れられている点です。

第3期では、鎖国政策をとっていた日本政府が移民の受け入れを始めるという設定になっており、物語の展開にも絡んでいます。

このように、すべてが現実と同じではないけれど、作品と自分の生活が地続きであるような感覚になれるポイントがあるので、それを見つけるのも面白いです。

気楽に楽しむポイントのまとめ

ここでは、マンガ版『PSYCHO-PASSサイコパス』シリーズを気楽に楽しむためのポイントを考察してみました。

まず、癖が強くカッコいい、可愛いキャラクターの魅力があります。

そして、作中に出てくる特殊銃「ドミネーター」にまつわる設定は物語のテーマとも重なりながらも、純粋にメカデザインのカッコよさを楽しめます。

最後に、現実と近い技術や道具が出てきたり、時事的な問題を取り上げているため、SF作品としてはより身近に感じられる演出がポイントとしてあげられます。

今回考察してみて、細かいところまで作りこまれている作品の世界観の素晴らしさに改めて感動しました。キャラクターやメカデザイン、設定がひとつの世界観で繋がっているからこそ、何度読んでも新しい発見があったり新鮮な気持で楽しめるのだと思います。

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