フリーホラーゲームが待望の漫画化!「殺戮の天使」の魅力に迫る!

大人気フリーホラーゲーム「殺戮の天使」を皆様ご存じでしょうか?

2015年配信開始以降、様々な有名ゲーム実況者がプレイ動画を投稿し、男女問わず人気を博しました。

結果、同年に漫画化され、何と原作に沿った物語のみあらずギャグ路線へと話をずらし、思わずファンをクスッとさせた4コマ漫画にもなりました

そして現在、人気過ぎる故にキャラクター達の過去について描かれた「episode.0」が連載されています。

何年経っても色あせないその魅力は一体どこにあるのでしょうか。

今回はそんな殺戮の天使の魅力に迫ります。

重農なストーリー

ストーリーは、僅か13歳の少女「レイチェル・ガードナー」が過去の記憶を失った状態で、廃ビルのB7フロアで目覚めるところから始まります。

名前程度しか覚えていない彼女は、訳も分からないままこのビルで「生贄」になったことを宣告されます。

そして、この謎のビルから出るため、地上を目指して上を目指していくことになります。しかし、このビルは普通ではありません。

各フロア毎に一人、殺人鬼が配置されており、彼らに殺されないようにフロアの謎を解きながら上に上がる必要がありました。

そんな物騒なビルを進む中、彼女はある殺人鬼に出会います。一番最初に彼女を殺そうと出てきたB6フロアの住人、「アイザック・フォスター」です。

彼はレイチェルとは真逆と呼んでよい程に頭が悪く、本人もそれを自覚しているという少し変わったお方。

自身のフロアでレイチェルを殺し損ねた挙句、上の階で同じ生贄を殺す立場の殺人鬼「ダニエル・ディケンズ」を殺害し、結果彼もレイチェルと同じ生贄の立場へと変わってしまうことになってしまいました。

殺されるのなんてまっぴらな彼、しかし頭が悪い故に上層に上がるのは難しいようで、彼は様子のおかしいレイチェルと約束を交わすのです。

その内容は「俺がこのビルを出られたら、お前を殺してやるよ」、というもの。これはレイチェルが彼に殺されることを望んだことで、契約のように結ばれたものでした。

レイチェルは何故死にたがったのか、その理由は是非本編をお読みください。

個性溢れるキャラクター

殺戮の天使には、多くのキャラクターは存在しません。しかし、存在するひとりひとりに奥深い個性があり、ファンを魅了します。

そんな彼らを紹介していきましょう。

レイチェル・ガードナー

一人目は主人公の一人、「レイ」こと「レイチェル・ガードナー」。

その年齢からは想像もつかない賢さ、冷静さ、を持っているものの、人間らしい温かさや感情というものが欠如したような無表情を常に携えています。

そんな彼女は時に相方のザックから時に「バカかよ」と言われてしまう程に我慢し過ぎてしまったり、自己犠牲が過ぎてしまうことも。

アイザック・フォスター

次に、二人目の主人公とされている「ザック」こと「アイザック・フォスター」。

彼は年齢よりも素直で実直、しかし良い人というわけではなく本能に従って生きている、そんな印象です。

嘘が大嫌いだという彼は、ビルに出るためとはいえ最後までレイチェルとの約束を守ろうとします。彼の少しずつ変わるレイへの態度は必見です。

ダニエル・ディケンズ

そして、ザックに殺されたとされるフロアB5の住人「ダニー」こと「ダニエル・ディケンズ」。

彼はレイのカウンセラーをしていた先生でした。

穏やかで物腰の柔らかい紳士……しかし、裏の顔は何の感情もない虚ろな瞳を愛し、収集している変態という中々に濃いキャラクターです。

彼は最もザックとの折り合いが悪く、最後まで確執を持っています。

エドワード・メイソン

四人目は特徴的な被り物を被った少年「エディ」こと「エドワード・メイソン」。

墓守の家系に生まれた彼はお墓が好きで、綺麗で美しい墓を作ることに命をかけていると言っても過言ではありません。

そのこだわり方は最早芸術家のそれであり、やはりどこか狂っています。

キャサリン・ワード

五人目は美しき断罪人、「キャシー」こと「キャサリン・ワード」。

彼女は元々看守の仕事をしており、罪人を決して許さず自身の正義のみで断罪を行います。彼女が悪だと言えばそれは悪であり、そして彼女は絶対的な正義なのでしょう。

看守らしく彼女のフロアは刑務所のようになっているので、その造りを見るのも楽しいです。

グレイ

六人目は謎に包まれた神父、「グレイ」。

他のキャラクターのようにフルネームはなく、ただ落ち着いた慈悲深そうな神父として登場します。

彼はいわば審判を行っているのです。

贄は死ぬべきなのか、そうでないのか……彼の真の目的は終盤で明らかになります。

ラストは誰にも分からない

この物語のラストは誰にも分からずに幕を閉じます。そのラストは非常に印象的で、読者の脳裏に深く刻み込まれることでしょう。

ビルから出ることに成功したザックとレイですが、レイは致命傷を負っており、このままでは死んでしまうという状態。

そしてビルは爆発が起こった関係で周辺には警察、ザックは元々殺人鬼として警察に追われる立場だったため、このままレイを連れて逃げることは諦めその場で捕まることを選びます。

暫くしてからレイは病院で入院生活を送ることになっていました。身体は回復しましたが心はずっと虚ろなまま。

そんな彼女に新たに付いたカウンセラーは様々会話を投げかけますが、レイは一向に心を開きません。それもそのはず、周りは皆ザックがレイを誘拐していたなどと言うのですから。

レイの言葉には誰も耳を貸さない、だからレイも心を閉ざしたままでした。

つまらない毎日を送っていた彼女ですが、あくる日にカウンセラーから聞かされた「ザックの死刑」という言葉に更に気落ちしてしまいます。

しかし、その話を聞いた晩に部屋の窓を割ってザックは迎えに来ました。レイとの約束を守るために脱獄をしてきたザックにレイは涙しながら彼に着いていくことを選びます。

そこで物語は終わるため、結局のところザックがレイを約束通り殺した描写はないのです。

彼らはこのまま逃亡生活を共にするのか、それとも約束は果たされるのか、ファンの間では沢山の意見が飛び交っています。

皆様はどう思いますか?

殺戮の天使の魅力

いかがでしたでしょうか?

ホラーというジャンルであることから敬遠されていた方も多いかと存じますが、内容はただ怖いだけではなく、様々なことを考えさせられるものだと思います。

キャラクターひとりひとりが自身の信念に従って動く殺人鬼であり、生贄を審判する天使、そして生贄は地上に向かう中で自身の犯した罪に向き合っていく、というとても深いストーリーとなっています。

物語そのものは全12巻とそこまで長いわけではないのですが、作者による沢山のメッセージが詰まっている作品となっています。

一度読んだらきっと何度も読み返したくなる、そして何度も考えてしまう、そんな素敵な作品である「殺戮の天使」を是非皆様にお読みいただけたら幸いです。