「ダイの大冒険」は、週刊少年ジャンプで連載され、後にアニメ化、累計発行部数も4700万部を超える国民的大ヒット漫画の一つです。
近年ではアニメリメイクが放映され、オールドファン並びに新たな子供たちからも人気を博しました。
そんな人気作の中でも、主人公であるダイを差し置いて、圧倒的な人気を誇るキャラクターが、彼の兄弟子で親友でもある魔法使いのポップです。
では一体何故、彼がそれほど人気のキャラクターなのでしょうか?
一般人で愛着が湧きやすい!
ダイの大冒険では、序盤に出会ってパーティを組む主要メンバーに、主人公のダイと、その時点では僧侶に近いスキルの女の子マァム、そして本題のポップが居ます。
しかし、ダイは当代の竜(ドラゴン)の騎士バランと、アルキード王国王女ソアラとの間に生まれた混血児という、正に王道主人公のそれ、マァムは勇者アバンパーティのメンバーだった、戦士ロカと僧侶レイラの一人娘であり、謂わば生まれながらにサラブレッドやエリートという生い立ちであるのに対して、ポップは違います。
彼はとある村の只の武器屋の息子という、至って平凡な一般人としての生まれです。
そんな彼は、魔王討伐の為に旅をしていた勇者アバンが、彼の村を訪れた際に一目で憧れ、弟子入りを懇願し、押し掛けのようなかたちでついていきます。
これも、その素質や素養、両親からの自然な流れでアバンの使徒となった前述二人とは違って、一般社会に重ねても、結構泥臭い経緯になっています。
ここが先ずは、多くの読者が自らに重ねて共感し易いキャラクター設定であり、決して恵まれた訳では無いのに、魔王討伐という大役メンバーにその名を連ねていることから、彼の人気を支える一つの初期プロフィールであることが伺えます。
天才的な一面を垣間見せる!
ポップは師であるアバンと共に、ダイの住んでいたデルムリン島に上陸します。ダイにとっては兄弟子となり、それが初対面になります。
その際に同時に来襲した、魔王軍のガーゴイル戦士二騎と対峙し、アバンに任されたことで、これが彼の初陣でした。
そんな彼がいきなり敵兵に浴びせた呪文が「メラゾーマ!」であり、これが読者の度肝を抜きます。
それもそのはずで、ポップは作品の第1巻、第6話目にして、魔法使いの最強の威力を誇る呪文を見せたからです。
これはドラゴンクエストのゲームに基づけば、最初の故郷である始まりの村から出たばかりの第1戦闘に当たる最序盤であり、敵は謂わばスライム一味のような立ち位置です。
通常はメラ(ダメージ10程度 MP消費2 習得レベル1)でも充分な威力とレベルであり、そこで彼が放ったのがメラゾーマ(ダメージ180程度 MP消費12 習得レベル36)ですから、読者には衝撃的過ぎました。
一般人という設定でありながら、時折見せる天才的な一面も、彼が人気を博す大きな魅力の一つになっています。
その後も成長し続け、真の大魔王であるバーンとの最後の死闘では、遂に名前を覚えられ認められるまでになります。
そしてその後に、ダイの最期となる直前に、「お前は昔から天才だよ!!」の名台詞が生まれました。
熱い名シーンが誰よりも多い!
ポップ一番の魅力はやはりこれになります。彼は序盤から終盤まで、作品の随所で名シーンと呼ばれる名場面を沢山生んできました。
先ず最初に挙げられるのが、獣王クロコダイン戦。臆病者と罵られていた彼が、決死の覚悟で一人立ち向かっていきます。
当初彼は仲間を見捨てて、自らだけは生き延びようとしていたため、二人で戦っていたダイとマァムは既にボロボロの状態でした。
改心してそんな二人を救おうとしますが、得意の火力系呪文は、クロコダインの真空の斧で防がれてしまいます。そこで彼が取った行動は、魔力増幅用のステッキで殴りかかること。しかし、それは圧倒的な力差の前に嘲笑され、一撃でやられてしまいます。
ですが、その粉々に砕けた魔法石を、魔王軍に操られてしまっていたブラス(ダイの育ての親である鬼面導師)の周りに飛ばし、師であるアバンが最も得意とした伝説の破邪呪文、マホカトールを成功させることで洗脳解除に成功します。
ポップの目的は最初からそれでしたが、身の丈に合わない大呪文使用により魔力を失い、動くことすら出来なくなったため、クロコダインにもそれを指摘されました。
しかし、ポップは「そんな事は最初からわかっていた。ただ、仲間を見捨てて生き延ることは、死ぬことよりもずっと恥ずかしいと思った。」と言い放ち、潔く死を覚悟し、無防備に仰向けになりました。
その言葉と行動は周囲の心を撃ち、ブラスは涙を流し、敵であるクロコダインの心の迷いと闇を晴らします。そして、戦士としての誇りを獣王に取り戻させ、改心させたのでした。
そんな彼の「本当にカッコいい生き様」とも呼べる名シーンの数々は、ファンである読者の心を掴んで離しません。
誰よりも人間味に溢れている!
ポップは臆病だったり卑怯だったり、人間の誰もが持ち合わせている、残念な一面が当初は目立っていました。
しかし、ダイやマァムに出会い、その眩しいくらいに真っ直ぐな正義や慈愛に触れるうちに変わっていきます。
魔王討伐の旅の最中での成長は、メンバー中随一であり、彼無しには打開出来ない場面も多々増えてきます。
後に誰よりも頼りになり、信頼も勝ち得ますが、それでも様々な葛藤の中で、自分に対しての負い目を感じているシーンも多いです。(アバンの印が使徒の中で自分だけ唯一光らなかったとき等)
そして物語序盤から終盤まで、ずっとマァムに恋心を一途に抱いていたり、殺伐とした状況下のメンバーの中に居ても、人一倍唯一人間らしい彼は、多くのファンから熱い支持を受けるのがよくわかる、大人気キャラクターなのです。
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