今回は甲斐谷忍さん原作の野球漫画ワンナウツの魅力を紹介しようと思います。
この野球漫画が他と違う点はキャラクターの魅力はもちろんのこと、心理戦が大きく作用する試合展開に目が離せない部分です。
主人公の渡久地東亜が沖縄で賭博野球をしているところから物語がスタートするのですが、本当に人の心を読むことに長けているキャラクターでどんなプロの野球選手でも手玉に取られてしまう展開の数々に爽快感を覚えること間違いなしです。
現実の野球では絶対に起こり得ない展開の数々も登場して野球がより一層好きになるので今回はその魅力的なエピソードを交えながら紹介したいと思います。
沖縄で渡久地東亜と出会い勝負する
プロ野球選手のスーパースター児島弘道は自軍であるリカオンズが一度もリーグ優勝できず悩んでいるのですが、沖縄でのトレーニング中に賭け野球をしている渡久地東亜と出会う展開から目が離せません。
まず渡久地東亜は、この賭け野球で相手から一度もヒットを撃たれたことがないと言う実績の持ち主です。
それには、いくつかの要素がありそれを巧みに操って勝利していると言う節があります。
まず渡久地の送球スペックはかなり低いです。
速球でも120キロ前後しか出ないですし、筋肉質というわけでもないです。
しかし、誰からも撃たれたことがないので本当にミステリアスで、この渡久地の存在にまず興味を抱くと思います。
賭け野球という野球を冒涜したような行為をしていたことで児島の逆鱗に触れてしまい渡久地と児島が対決するのですが、本当に面白いんです。
渡久地は児島がプライドの塊であるということを理解して、ギャラリーを抱き込んで自分に賭けるように仕向けて、児島のプライドをへし折り、さらにわざと負けるようなボール球を投げて児島を馬鹿にしていくのですが、これが全て作戦だったという展開にはあっぱれでした。
児島にファールを撃たせて2ストライクと追い込まれた状態にして、最後児島はプロである自分に対して全力のストレートを渡久地が投げてくると思い込みます。
それに漬け込んで渡久地は、とてつもなく遅いスローボールを投げてストライクを取るのです。
この全ての流れが渡久地の描いた計画の一部だったとわかる展開が本当にすごいんです。
児島が渡久地にリベンジを申し込む
賭け野球であっさり負けたことで児島は行方不明になるのですが、見つけると森の中で薪割りをしている展開に驚きました。
児島は渡久地に負けた原因が自分のメンタルにあると気がつき無の境地にたどり着こうと薪割りをしていたことがわかるのですごく興味深いシーンです。
その後、児島は渡久地に、またしても勝負を申し込むのですが、そこでプロ野球生命を賭けるというのです。
もし渡久地に負けたら即引退すると言います。
そのかわり自分が勝ったら渡久地の腕をもらうと話し二度と賭け野球をできなくさせると話し勝負が成立します。
かなりの大勝負に児島の気持ちは前のめりになりますが薪割りが祟って手首を痛めてしまうというハンデを背負ってしまう展開がまた面白い要素です。
勝負当日、渡久地はまたしても児島に罠を仕掛けます。
わざと肩慣らしだと言って壁にボールを当てるのですが、そこで児島に転がったボールを投げるように誘導して怪我している手首の存在を知るのです。
いよいよ勝負が始まりますが、児島に対して手首の怪我のことを指摘して不利であるインコースにばかり渡久地はボールを投げ込んでストライクを量産していく姿はまさに鬼畜です。
もう負けを確信した児島は自らデッドボールを喰らい自分の勝ちだと宣言します。
ボールはストライクゾーンに入っていたので普通ならストライクなのですが、これは賭け野球で公式ではないので壁の白い枠内にボールが当たらなかったということで児島の勝ちということになってしまう展開が見どころの一つです。
渡久地は約束通り右腕を児島に差し出すのですが、別に折る訳ではなくプロ野球の世界に引き入れる展開が待っているので非常にワクワクさせられます。
渡久地とオーナーの特殊な契約
渡久地は児島の推薦によってリカオンズのメンバーになるのですが、その時のオーナーとの年俸の交渉がとても面白いです。
この作品のタイトルにもなっているワンナウツというものが契約の名前なのですが、簡単に話すと渡久地が試合で1アウトを取るごとにオーナーが渡久地に500万円支払う、逆に渡久地が1失点したら渡久地がオーナーに5000万円支払うというものです。
金にがめついオーナーはこのとんでもない渡久地の発案をすんなりとオーケーして物語が展開していく部分に注目です。
オーナーは渡久地の恐ろしさを何も知らなかったので、どうせ一つもアウトが取れずに終わるだろうと鷹を括っていたのですが、オープン戦でいきなり全ての打者をシャットアウトしてしまう渡久地の姿がとてもかっこいいです。
この結果を見てオーナーが渡久地を陥れようと画策していくので、この2人の攻防もこの作品の大きな魅力の一つになっています。
渡久地はオーナーの嫌がらせを一身に受けていくのですが、それすらも楽しんで野球に邁進していくので、そこも見どころの一つです。
チームメイトの中にオーナーのスパイがいてわざと渡久地が失点するように守備をおざなりにしてエラーを頻発したりするので、本当に腹が立ちます。
ですが、渡久地はこの状況すらも手玉に取り8人で守備をしたりとやりたい放題な試合展開がめちゃくちゃ楽しいです。
この8人で守備をしたことで一人当たりの負荷が大きくなっていつも以上にがむしゃらになるチームメイトたちの熱量が最高ですね。
試合展開がぶっ飛んでいて面白い
この作品の一番の魅力は現実の野球では起こり得ない状況が起こるということです。
一番面白い試合はバガブーズというチームとの一戦です。
かなりの俊足の持ち主ジョンソンという選手がいるのですが、彼が渡久地をとても苦しめます。
ジョンソンが三塁にまで行ったら絶対にスクイズが決まってしまうという展開がかなりハラハラさせてくれます。
ですがこのスクイズにはちゃんとした打開策があって、それを渡久地がちゃんと見破って仕掛けるので見応え十分です。
このバガブーズとの戦いで9人内野というシフトチェンジを図るのですが、現実の野球では絶対に起こり得ない展開に唖然とすること間違いなしです。
スクイズを阻止するための秘策なのですが、外野に飛ばされたら即刻アウトと言う緊張感は計り知れませんね。
その後、9人外野なんて秘策まで登場して話の展開に飽きることがありません。
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