藤子不二雄A先生によるブラックユーモア満載の作品なのですが、喪黒福造のキャラクターが印象的で相談者の弱き心に付け込んで酷い目に遭わせたりする部分が人気です。
今回はその中から自分が心に残った印象的なエピソードを紹介していきたいと思います。
喪黒福造は大体相談者と約束を交わして、それを破ったら大変な事が起きると釘を刺すのですが相談者によって、その罰が異なるところがとても面白い部分でもあります。
ネタバレを含みますがそれを踏まえて読んでも普通に楽しめる作品なのでおすすめしたいです。
目次
直射日光が大嫌いな売れない漫画家が押し入れでの生活を始めたら面白い漫画が描けるようになった話
原作のタイトルは押入れ男というのですが、この話がとても面白いです。
日陰久利という相談者が漫画のアイデアに行き詰まり家賃が払えなくなり喪黒福造と一緒にアパートに住むようになるのですが、その時に喪黒が「押し入れの中で生活してほしい」と日陰に話し押入れという暗闇で漫画を描くことで作業が捗っていく姿が印象的です。
しかし、のちに同居している事が大家さんに見つかってしまい日陰がアパートを出なければいけなくなるのですが日光が苦手な体になっており喪黒がガラス張りの小屋に日陰を連れて行って日光に対して免疫をつけていく展開で話が終わります。
この日陰という人物がとても変わっていて風呂にも入らないとても汚い生活をしているのですが、フケを溜め込んでいるという部分がかなり気になります。
そして、押し入れに入るとなぜだか安心すると話すのです。この言葉を聞いて自分も気持ちがわかると思いました。少し狭い部屋で考え事をしたりすると仕事が捗るという部分はあると思います。喪黒の話で体内回帰という働きがある事がわかります。
狭い空間というのは母親の体内にいた頃の気持ちに戻るからだと話してくれるので非常に為になる情報です。
日光が嫌いな日陰が最後直射日光を避けるために机の下に隠れている姿が忘れらません。
みんなから頼られる会社の部長が、そのプレッシャーに耐えられなくなり喪黒に頼る話
ある会社の部長でもある頼母という人物が、みんなから頼られることに対して辟易して気持ちのキャパシティが爆発して喪黒に縋りつき、ある女性を紹介されて甘えるという流れなのですが、すごく現代社会に直結しているようなエピソードで身につまされました。
誰だって頼られるよりは頼りたいと思っている事がわかるのですごく共感できます。
頼母は自分の悩みを喪黒に相談するのですが昼間に喪黒が会社を訪れたときは気を張っている感じで拒絶したりするのでそのギャップが面白ポイントです。
でもすぐに無理していたと自覚して喪黒の元を訪れるので、その変わり身の早さにも驚かされます。
喪黒は包容力のある女性を頼母に紹介するのですが、この女性がかなりの曲者で若干のトラウマレベルで不気味です。
頼母には完全に観音様のような感じに見えているのですが、実は肥満体型の単なる全裸の醜い女である事が判明するので尚更恐ろしいです。頼母が自分の状況を全く理解していない感じで描写されているのでその部分も怖いところです。
大体喪黒は相談者を酷い目に陥れるのですが、今回の話は一概にそうとはいえない部分がすごく考えさせられます。頼母にとってはかなりの幸せかもしれないので、その部分も注目ポイントです。
卑屈な男が喪黒の暗示によって高飛車で自信家な男へ大変身する話
サラリーマンの宇和目和夫という相談者がいるのですが、この人物は何事に対しても「すいません」と言ってしまう卑屈人間なんです。そんな彼が喪黒と出会って様変わりする姿は必見です。
高層マンションの最上階に住ませて人を見下す性格に変えるのです。高いところから街並みを見る事で宇和目の気持ちにも変化が生じ始める展開がかなり面白いです。会社で年下の上司にヘコヘコしていた感じが一変して強気に出る姿にかなりの爽快感があります。
この性格の変化で会社でも一目置かれた存在に変わり社長にも、その噂が広まる展開にはかなりワクワクしましたね。宇和目の変化に社長もかなりの期待を寄せたらしくいい役職に就かせようと働きかける姿が印象的です。
その後、自宅へと帰るのですが喪黒のせいで高層マンションに住んでいたので、ずっと家を空けていたことを嫁に咎められる展開に注目です。嫁の威圧感によって、すぐに元の宇和目に戻ってしまうので人の性格というものはすぐには変わらないという事がはっきりわかる瞬間でもありました。
今回のエピソードでは喪黒による罰というような罰はなかったので少し残念な気持ちはありましたが相談者のキャラがとても面白いので、おすすめのエピソードです。
ともだちがいない会社員が人恋しさに喪黒に相談する話
青井達夫という会社員がいるのですが、彼には友達がいない孤独な青年です。しかし、喪黒の計らいである女性と文通のやりとりをして仲を深めていくのですが、最後には喪黒の悪戯で痴漢の冤罪で逮捕されてしまうという悲惨な目に遭ってしまう展開から目が離せません。
完全に喪黒は青井のことを陥れようと罠にはめている感じ満載な事が見て取れるので非常に後味は悪いです。青井は全く悪いことをしていないので理不尽を絵に描いたような展開にかなりのインパクトがあると思います。
文通によって青井が会社でも一目置かれた存在に変わっていくのが見ていて嬉しかったのですがオチを見るとその気持ちが一瞬にして踏み躙じられるのである意味面白いです。喪黒に目をつけられた段階で青井の運は尽きていたのでしょうね。
コメントを残す