2018年4月に白泉社より刊行された『偽りのフレイヤ』。
小村の泣き虫な少女フレイヤが自分の大切な人を守るため、愛する人達が住む国を守るため、自分と瓜二つの顔を持つテュール王国の王子・エドヴァルドとして生きていく物語です。
男装の主人公とその少女を守る騎士たち。
一見よくありそうな王道ファンタジーですが、恋愛要素以上にハラハラさせられる王国の行方、男女問わず魅力的なキャラクター、そして絵の美しさ、どこをとっても少女漫画の最高傑作と言って過言ではないほどの作品です。
そんな偽りのフレイヤのキャラクターの魅力を紹介したいと思います。
誰もが応援したくなる主人公フレイヤ
主人公のフレイヤはテュール王国のテナ村に住む少女です。
どこにでもいそうな優しい少女。
病気に伏せる母親を看病しながら、村の人たちに見守られ平穏な生活を送っていました。
そんな中3年前に王都に出て騎士となっていた幼馴染のアーロンとアレクシスの兄弟が久しぶりにテナ村に帰ってきました。
アーロンはエドヴァルド王子の側近となっていたので、王子に付き添って近隣まで赴き村に立ち寄ったと言いますが、実際にはフレイヤを王子の替え玉として連れてくるよう命令を受けていたのです。なぜならフレイヤと王子の容姿は瓜二つだったから。
アーロンとアレクシスはフレイヤを守るつもりでいましたが、2人の思惑に反してフレイヤは偽りのエドヴァルド王子となる道を選ぶことになります。
フレイヤの最大の魅力は泣き虫でか弱い少女のようでありながら、うちに秘めた真の強さにあります。
アーロンという想い人の死を乗り越え、自分の大切な人たちを守るため、自国よりはるかに大きな隣国シグルズ帝国に向かっていく強さ。か弱い少女が辛く苦しい逆境を跳ね返し気丈に振る舞う姿は感動的で、だれもが応援したくなるヒロインです。
一見何もできなそうなフレイヤですが、もともと野山をかけまわって育っているため運動神経が良く活発な一面があるところも魅力の一つです。
フレイヤを想い続ける幼馴染のアレクシス
フレイヤの実情を知る数少ない味方の一人が従騎士となったアレクシスです。
アーロンの弟で幼い頃からフレイヤに惹かれていましたが、アーロンには敵わないと最初からフレイヤに対しては諦めの気持ちを抱いていました。
しかし兄の死をきっかけにフレイヤをそばで守るため、白騎士ユリウスの従騎士にまで上り詰めます。
そんなアレクシスにはまだフレイヤにも告げていない秘密があります。
それはテュールのレレン砦がシグルズ軍に攻撃された時のこと。砦の救援に向かう道中にアレクシスはシグルズ軍の弓矢に目を撃ち抜かれて谷底に落ちてしまいます。絶対に助かるはずがないアレクシスですが、その後森の民ゲルタと共に砦のフレイヤの元に駆けつけるのです。
アレクシスはゲルタと何らかの取引をして自分の命を救ってもらい、そしてフレイヤを助けに来たのでしょう。その「代償」が何なのか。これがアレクシスの最大の謎です。
アレクシスはこのレレン砦の戦い後からフレイヤに少しずつ思いをぶつけるようになります。
それでもフレイヤをとにかく大切に思うアレクシスは、決して強引に自分の気持ちを押し付けることはなく、フレイヤがフレイヤらしくあるために寄り添い力になっていきます。
アレクシスは森の民との契約によって、フレイヤとずっと一緒にはいられない覚悟を決めています。その事実をフレイヤが知った時に2人の関係がどう動くのかが見どころです。
フレイヤに惹かれてゆく白騎士ユリウス
偽りの王子となったフレイヤの一番近くにいる存在なのが白騎士ユリウスです。
亡き王子を心酔していたがゆえに最初はフレイヤを疎んじていましたが、心の痛みを抱えながらも決して折れることなく強く光を放つフレイヤに少しずつ惹かれていきます。
ユリウスの魅力は何と言っても超絶美男子であるところです。
フレイヤに対しては常に厳しく接しているように見えますが、言葉の端々にフレイヤへの優しさが滲み出ていて最高にかっこいいです。
エドヴァルド王子が亡くなってから人には決して弱さを見せなかったユリウスですが、フレイヤには弱い所を出せそうな予感がします。ユリウスはフレイヤに「自分の命のためなら仲間を見捨てろ」と伝えますが、そこでフレイヤが返した言葉はユリウスも含めみんなを「僕が守る」というものでした。本物の王子なら絶対に言わないその一言にユリウスは胸が熱くなります。
ユリウスで一番気になるのはやはり今後のフレイヤとの関係でしょう。
フレイヤがけがを負ったときは口移しで薬を飲ませたり、2人で牢に捕らわれた時には別れ際にキスをしたり、物語の序盤からかなり恋愛要素が多いはずの2人ですが、何せフレイヤが鈍すぎるので関係はなかなか進展しません。
フレイヤにとってアレクシスもユリウスもとても大切な存在ですが、フレイヤがどちらとハッピーエンドになるのか今後の展開に注目です。
フレイヤをめぐる逆ハーレムをぜひ!
フレイヤを守るアレクシスとユリウス以外にもう一人物語の重要なキーとなる人物がいます。
それはテュール王国の敵国であるシグルズ帝国の王ディミトリです。
父王が亡くなり若くして大国の王となったディミトリはテュール王国を手にするため、いずれフレイヤと戦うことになる存在です。
ですが、王子の姿ではなく変装のため女性の格好をしているフレイヤと運命的に出会ってしまうのです。
敵だと知らずに「嫁に来い」と言ってしまうほど好意を抱いてしまったディミトリ。叶わぬ恋だとは思いますが、2人の再会が待ち遠しいです。
そして王子の近衛騎士であるミカルとイングウェイも外せない2人。
王子を溺愛するミカルは茶目っ気たっぷりでかわいい美男子、お酒と料理が好きなイングウェイは落ち着いていてみんなのお兄さん的存在です。
2人は本物の王子が亡くなりフレイヤが入れ替わったことを知らされていません。いつかきっとフレイヤから本当のことを告げられる日が来るはずだと願わずにはいられません。
偽りのフレイヤは本当に魅力的な男性キャラクターがたくさん登場します。
フレイヤをめぐる逆ハーレム的展開を思う存分楽しんで欲しいです!
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