大ヒットとなりドラマ化や映画化もされた『のだめカンタービレ』の作者、二ノ宮知子さんによる、連載中のおすすめ漫画が『七つ屋 志のぶの宝石匣』です。それまでのオーケストラをメインにしたストーリーとは大きく異なり、舞台は東京の質屋さんです。
主人公は質屋を継ぐべく日々勉強をしている倉田しのぶ、そしてその婚約者である北上顕定の二人です。なんと北上顕定は幼少時、質屋に預けられてそのまま質流れ品となって倉田家で育ったという訳ありな過去を持っているのです。
目次
質屋のシステムが丸わかり!
最近は、手軽にオークションなどで物の売り買いが出来るようになってきており、質屋を利用する方も減ってきていることでしょう。しかし、この漫画を読めば質屋に興味が湧くこと間違いありません。
こちらの漫画では、そもそも質屋というものはどういうシステムになっているのか、鑑定の仕方などはどうやっているのかなどが非常によく分かるのです。完全に物を売って処分することもできれば、一時的に預けて引き取りに来ることも可能なのは、質屋だけですよね。そもそも漫画のタイトルにもある『七つ屋』というのも、昔は質屋のことをシャレで七つ屋と呼んでいたことから付けられているとのことです。
また流れてしまった商品はその後どういうルートを辿るのか、質屋に置く品物はどこからやってくるのかなど、普段では滅多に知ることが出来ない質屋事情もよくわかりますよ。
一方、主人公の婚約者である北上顕定は、独り立ちして大手のジュエリー店にて働いています。そのため、こちらはこちらでジュエリー店のバックヤードもよく分かります。
質屋もジュエリー店も、漫画の舞台として取り扱われることは少ない題材ですよね。以外にも身近で親しみやすいものなのだということも伝わってくるため、実際に足を運びたくなること間違いなしですよ。
主人公はオカルト少女?石の「気」が見えるとは?
主人公である倉田しのぶは、高校生でありながら祖父が残した質屋を切り盛りしています。同居の母は、ブランド物には詳しいのですが、宝石に関してはずぶの素人といったところで、宝石類が持ち込まれた際にはしのぶの出番です。しのぶには宝石が持つ「気」を読むという謎の力があるため、その宝石がなんの石なのか、真贋もひと目で分かります。
更に、その宝石の持ち主が今どんな状況なのかとか、この石を持ち続けているといいことがあるのか悪いことがあるのかまで見抜いてしまえるのです。
実は、この謎の力こそ、ストーリーの鍵となってくるのです。限りなく本物に近く、普通に鑑定されると本物と認定されてしまう合成ダイヤモンドを作っている人たちにとって、ひと目で真贋が分かってしまうしのぶは邪魔な存在でしかありません。
また、北上顕定の家族が蒸発してしまった原因とも何やら関連性がありそうです。登場人物自体は他の漫画と比べるとそれほど多くないのですが、それぞれの人物同士の絡み合い方が非常に複雑なのも、この漫画の醍醐味と言えるでしょう。
まだまだコミックも15巻までしか出ておらず、一体誰が黒幕なのかもぼんやりとしている段階です。ハラハラドキドキが止まらず、今後の展開も非常に楽しみな漫画と言えるでしょう。
宝石のことを知りたい人に特におすすめ!原石にも興味が湧いてくる
しのぶに石の「気」を見る力がある…ということもあり、この漫画の肝と言えるのはやはり宝石類です。
そのため、この漫画の中には宝石を山のように持つ、とてつもないレベルのセレブたちも多数登場してきますよ。そのレベル違いな生活様式もまた、漫画をコミカルにしてくれる大事な要素となっています。
毎回素敵な宝石が登場してくるのはもちろんのこと、その宝石にまつわる豆知識も同時に学べます。聞いたことのないような名前の石も登場してくることもあり、こんな石があるのかと、興味もかきたてられることでしょう。コミックスの巻末にはその巻に登場してきた宝石がカラーで載せられているのも嬉しいですね。
『七つ屋志のぶの宝石匣』に登場してくる人物は、ほとんどが石に詳しい人ばかりです。そのため、既に加工されている宝石だけでなく、原石にまつわるストーリーも度々登場します。
そういった原石がどこで採掘されているのか、またどのようにして加工されているのかなども練り込まれているので、普段宝石にあまり興味がない方でも楽しめます。
もちろん、それぞれの石がどれくらいの価格で売買されているのかも分かってしまうので、手持ちの宝石と見比べてみるという楽しみ方も有りかもしれませんよ。
今後の二人の恋愛もどう展開していくのかが楽しみ
ダブル主人公といえる、しのぶと顕定は、11歳離れた婚約者同士です。
それも祖父に勝手に決められており、本人たちに決定権はありません。生まれたときから一緒に過ごしてきたこともあり、最初の頃はお兄ちゃんと妹という感じが抜けていませんでした。恋人同士というよりは家族愛に近い感じですね。
しかし、しのぶも年頃になり、モテモテの顕定の周りは常に女性が狙っているということもあり、少しずつ互いに家族以上の意識が芽生えてきている様子です。
様々なトラブルに巻き込まれることも多く、喧嘩をしながらも、回を重ねるごとに二人の距離も狭まってきているように感じられます。
本筋のストーリーも気になるところですが、同時に二人のじれったい恋模様の今後の展開も非常に気になる漫画です。
まだ読んだことが無い人は一読してみてはいかがでしょうか。
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